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知っているようで知らない「質屋」の話 vol.12
2019年07月03日
SNSで人気が拡散
注目度と価格は正比例
響や白州に代表される国産ウイスキーの価格高騰の背景にある4つの理由、2つめは「メディアによる報道と情報の拡散」です。前回のコラムでご紹介した「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)」の2019年の結果が発表されましたね。今年も、「竹鶴ピュアモルト25年」をはじめとするジャパニーズウイスキーが華々しい成績をおさめました。ISCは、はるか遠くイギリスで開催されるお酒のコンテストですが、結果はネットニュースでたちまち世界中を駆け巡りました。
近年はSNSが普及したこともあり、誰もが気軽に情報を受信・共有・発信できる時代です。長年ブログを書いている知り合いのライターさんが、「食べ物・飲み物」「旅先の風景」「見た映画」「動物」等のさまざまなテーマの中で、読み手の共感を得やすいのはダントツで「食べ物・飲み物」の記事だと言っていました。ウイスキー好きの方、酒屋、バーの経営者さんなら、世界的なお酒のコンテストのニュースをキャッチするアンテナを常に張っているでしょうし、目にした記事をツイッターやFacebookにアップせずにはいられないはずです。情報はネットに乗ってすさまじいスピードで拡散され、「コンテストで1位になったウイスキーを自分も飲んでみたい!」という気持ちが高まります。特定の銘柄に人気が集中し、それが価格高騰につながっているのです。
こんなに違う!
ウイスキーとビール
国産ウイスキーの価格高騰の3つめの理由は、「ウイスキー製造会社による新しい飲み方の提案」です。詳しくご説明する前に質問です。あなたが20歳になって初めて飲んだお酒は何ですか?おそらく、ビールやチューハイがという人が多いのではないでしょうか。これらのお酒のアルコール度数は5%~9%が大半で、缶や瓶を開けたら「そのまま飲める」気軽さが特徴です。対して、ウイスキーのアルコール度数は40%~43%と高め。それだけでアルコールが苦手な方には敬遠されがちですし、いざ飲もうとすると水割り、ロック、ソーダ割など「飲むためのひと手間」が必要です。
さらに、飲むシーンにも大きな違いがあります。ビールであれば自宅でテレビを見ながら、あるいは風呂上がりにプシュッと開けてゴクゴク。バーベキューや海水浴といったアウトドア、夏祭り、プロ野球観戦で飲むビールが最高という人もいますね。居酒屋に集まれば、とりあえずビール。みんなで乾杯するならビールを選ぶ人が多数です。一方、ウイスキーを飲むシーンはビールに比べて限られています。例えば、スナックやクラブでホステスさんが作ってくれる水割り、バーカウンターで飲むロック。場所は屋内で時間帯は遅め、アルコールに比較的強い人で性別は男性、それも少し年齢を重ねた人が嗜むイメージがありますね。現に、ウイスキーの売上が長く低迷していた時期もありました。(続く)
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